カナダ出身のグラミー賞受賞アーティスト、Drake(ドレイク)は、2009年のデビューアルバム「Thank Me Later」のヒットを皮切りに、以降、数々のヒット曲とアルバムを世に送り出してきました。多数のビルボードチャートの首位獲得や、複数のプラチナディスク認定など、彼の音楽は、ジャンルの垣根を越え、幅広いリスナーに受け入れられています。
本記事では、2019年のグラミー賞で最優秀ラップソングを受賞し、Billboard Hot 100で11週連続1位を獲得するなど、Drakeのキャリアで最も成功したシングルの一つ「God’s Plan」のリリックの意味やメッセージについて、歌詞の紹介を交えて解説します。
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Drakeのディスコグラフィーについて

今回解説する「God’s Plan」以外にも、Drakeは数多くの曲をリリースしています。ここでは、代表的なシングルを年代順に紹介します。
- 2009年:Best I Ever Had – Drakeの初期のヒット曲で、彼のデビューEP「So Far Gone」に収録されています。
- 2010年:Find Your Love – アルバム「Thank Me Later」からのシングルで、Drakeのポップへの進出を示す曲です。
- 2011年:Take Care feat. Rihanna – 同名アルバム「Take Care」からのタイトルトラックで、大ヒットしました。
- 2013年:Started From the Bottom – アルバム「Nothing Was the Same」からのシングルで、Drakeの成功への道のりを描いています。
- 2015年:Hotline Bling – 大きな文化的影響を与えたシングルで、多くのチャートで上位にランクインしました。←Hotline Blingの解説記事はコチラ
- 2016年:One Dance” feat. Wizkid and Kyla – アルバム「Views」からのシングルで、世界的なヒットとなりました。
- 2018年:God’s Plan – アルバム「Scorpion」からのシングルで、Billboard Hot 100で長期間1位をキープしました。←今回の記事
- 2018年:In My Feelings – 同じく「Scorpion」からのシングルで、「In My Feelings」チャレンジが流行しました。←「In My Feelings」の解説記事はコチラ
- 2020年:Toosie Slide – TikTokでのダンスチャレンジが流行したシングルです。
「God’s Plan」のリリース日、チャートランキング、受賞歴について

Drakeのヒットシングル「God’s Plan」は、2018年1月19日にリリースされました。この曲は、DrakeのEP「Scary Hours」及びアルバム「Scorpion」に収録されており、公開直後から音楽チャートでトップにランクインしました。特にアメリカのBillboard Hot 100では、リリース後すぐに1位を獲得し、その後11週連続でトップの座を守り続けました。また、カナダ、イギリス、オーストラリアなど世界中の多くの国々でチャートのトップにランクインし、世界的ななヒットとなりました
受賞歴を見ると、2019年のグラミー賞では、最優秀ラップソングを受賞し、Drakeの音楽的な才能と曲そのものの実績を確固たるものにしました。さらに、この曲はビルボード・ミュージック・アワードやアメリカン・ミュージック・アワードなど、数々の音楽賞にノミネート及び受賞しました。
「God’s Plan」の歌詞の意味やメッセージとは?
Drakeの「God’s Plan」は、自分自身の成功とそれに伴う代償、そして感謝をテーマにしていて、彼の人生が神の計画の一部であるという信念を表現しています。特に、「I only love my bed and my momma, I’m sorry」というフレーズは有名で、成功を含めた自分のルーツである家族への愛を強調しています。
また、家族だけではなく、恵まれない人々をサポートすることの重要性にも光を当てていて、ミュージックビデオ(MV)は、Drakeがマイアミで行った実際のチャリティ活動の様子が描写されています(MVの冒頭に、チャリティで使った金額は996,631ドル、日本円で約1億5500万円と発表され、スーパーマーケットの買い物客に対して、買いたいものは自由に買っていいと言ったり、マイアミ消防局や女性用保護施設、マイアミ大学への寄付、子供たちへのおもちゃの寄付などを行っています)。成功者の影響力を前向き変化のために使うべきだというメッセージを発信しています。このように、Drakeは自身の立場を上手く利用して、より良い世界になるためのための行動を促しています。
God’s Planの歌詞
And they wishin’ and wishin’
And wishin’ and wishin’, they wishin’ on me
Yeah
I been movin’ calm, don’t start no trouble with me
Tryna keep it peaceful is a struggle for me
Don’t pull up at 6 AM to cuddle with me
You know how I like it when you lovin’ on me
I don’t wanna die for them to miss me
Yes, I see the things that they wishin’ on me
Hope I got some brothers that outlive me
They gon’ tell the story, shit was different with me
Genius
曲は「Yeah, they wishin’ and wishin’ and wishin’, they wishin’ on me, yuh」というフレーズで始まり、ドレイクが人々が自分の失敗を望んでいることを認識していることを示します。それに対して、「I been movin’ calm, don’t start no trouble with me, Tryna keep it peaceful is a struggle for me」とラップし、それでも彼は冷静を保ち、争いを避けようとしています。
God’s plan, God’s plan
I hold back, sometimes I won’t, yeah
I feel good, sometimes I don’t (Ayy, don’t)
I finessed down Weston Road (Ayy, ‘nessed)
Might go down a G-O-D (Yeah, wait)
I go hard on Southside G (Yeah, wait)
I make sure that north-side eat
And still
Bad things
It’s a lot of bad things that they wishin’ and wishin’
And wishin’ and wishin’, they wishin’ on me
Bad things
It’s a lot of bad things that they wishin’ and wishin’
And wishin’ and wishin’, they wishin’ on me
Yeah, ayy, ayy
Genius
「I hold back, sometimes I won’t」というフレーズで、Drakeは自分が完璧ではないことを認めています。「I finessed down Weston Road」というラインは彼のトロントでの生い立ちを、「I go hard on Southside G」というフレーズは彼のルーツへのこだわりを示し、「I make sure that north-side eat」は彼のコミュニティへの献身を強調しています。
コーラスの「Bad things, it’s a lot of bad things that they wishin’ and wishin’ and wishin’, they wishin’ on me」は、彼に対する否定的な意見がどれほど多いかを強調していますが、彼は集中力と回復力を保っています。
She say, “Do you love me?” I tell her, “Only partly
I only love my bed and my mama, I’m sorry”
Fifty Dub, I even got it tatted on me
Eighty-one, they’ll bring the crashers to the party
And you know me Turn the O2 into the O3, dog
Without 40, Oli, there’d be no me
‘Magine if I never met the broskies
God’s plan, God’s plan
I can’t do this on my own, ay, no, ay
Genius
Someone watchin’ this shit close, yep, close
I’ve been me since Scarlett Road, ay, road, ay
Might go down as G.O.D., yeah, wait
I go hard on Southside G, ay, Way
I make sure that north-side eat, yuh
And still
Bad things
It’s a lot of bad things
That they wishin’ and wishin’ and wishin’ and wishin’
They wishin’ on me
Yeah, yeah
Bad things
It’s a lot of bad things
That they wishin’ and wishin’ and wishin’ and wishin’
They wishin’ on me
Yeah
「She say, “Do you love me?” I tell her, “Only partly, I only love my bed and my mama, I’m sorry”」というバースは、Drakeが家族をどれほど大切にしているかを示しています。「Fifty Dub, I even got it tatted on me, Eighty-one, they’ll bring the crashers to the party」というラインは、彼の親友や仲間(81=Hells Angels)への思いについて触れています。
「Turn the O2 into the O3, dog, Without 40, Oli, there’d be no me, ‘Magine if I never met the broskies」というフレーズは、彼のキャリアを支えてきた友人やプロデューサーへの感謝を表しています。彼は自分の成功がチームの助けがあってこそだと認めています。
「God’s plan, God’s plan, I can’t do this on my own, ayy」という部分では、ドレイクは神や友人などのサポートが必要だと認めています。
コーラスの繰り返しによって、ドレイクに対する悪意が浮き彫りにされますが、彼は自分の道を堅持しています。「God’s Plan」は、ドレイクの感謝の気持ち、直面する困難への認識、そして揺るぎない決意を示す曲であることが伺えます。
スラングについて
- Tryna – “Trying to” の短縮形。何かをしようと努力していることを意味する
- Pull up – 訪れる、やってくるという意味。特に車でどこかに行く際に使われる
- Finessed – 何かを巧みに、または滑らかにやり遂げること。ここでは、自分のやり方で物事をうまく処理したことを意味。 「finessed down Weston Road」というラインは、トロントにあるWeston Roadでの生い立ちを示唆している
- Fifty Dub – Drakeの親友であるAnthony Soares
- Eighty-one – アメリカで誕生した国際的モーターサイクル・ギャング「Hells Angels」(ヘルズ・エンジェルス)を示唆。アルファベットの8番目と1番が、それぞれHells Angelsの頭文字のHとAになることから、81と表現
- Tatted – タトゥーを入れること。”Tattooed” のスラング形
- Crashers – パーティークラッシャーの略で、招待されていないのにパーティーに現れる人々を指す
- O2 into the O3 – ここでは、O2アリーナ(ロンドンの有名なコンサート会場)をさらに盛り上げるという意味。また、O3はオゾンの化学式であり、O2(酸素)よりも強力な存在を示唆している可能性も
- Without 40, Oli – 40はDrakeに長年音楽を提供してきた音楽プロデューサーのNoah “40” Shebibのこと。Drakeと同じトロント出身。Oliは、DrakeのマネージャーであるOliver El-Khatibのこと
- Broskies – 兄弟、仲間を意味する親しみを込めた言葉で、”Brothers” のくだけた形
- Go hard – 何かに全力を尽くす、熱心に取り組むことを意味。「I go hard on Southside G」というフレーズはDrakeのルーツへのこだわりを示している
「God’s Plan」に対するファンやSNSの反応は?
Drakeの「God’s Plan」は、ファンからの熱狂的な反応を受け、ソーシャルメディア上で大きな話題となりました。リリース直後から、ファンはX(旧:Twitte)rやInstagramでこの曲への熱狂ぶりを表現し、特にミュージックビデオのチャリティ活動のシーンは多くの人々に感動を与え、ソーシャルメディアで共有されました。#GodsPlan というハッシュタグは、世界中でトレンドになり、ファンは自身の良い行動を投稿する「God’s Plan Challenge」を始めるなど、曲のポジティブなメッセージを実際の生活に取り入れる動きも見られました。
「God’s Plan」のミュージックビデオは、Karena Evansによって監督され、その才能が広く認められるきっかけとなりました。彼女は、このビデオを通じて、若手女性監督としての地位を確立しました。
撮影はフロリダ州マイアミで行われ、地元の学校やスーパーマーケット、コミュニティセンターなど、日常生活の場が舞台となっています。 ビデオの象徴的なシーンには、Drakeが大学の奨学金を提供する様子や、家族に車をプレゼントするシーン、スーパーマーケットで買い物客に食料品を無料で提供する場面などがあります。
これらのシーンは、実際にDrakeが行ったチャリティ活動を映し出しており、視聴者に強い印象を残しました。 ミュージックビデオは、リリース直後から世界中で絶賛され、特にそのチャリティのメッセージと実際の行動が称賛されました。ビデオは、エンターテインメントの枠を超えて社会的な影響を与えることができるという例を示し、多くの人々に感動を与えました。また、ビデオはYouTubeでの再生回数が10億回を超えるなど、社会的なバイラルヒットとなり、人々が自らのコミュニティでのチャリティ活動に触発されるきっかけとなりました。
「God’s Plan」のビデオは、音楽業界だけでなく、社会全体においてもポジティブな影響を与える力を持つ作品として、その評価と影響は今も続いています。このビデオは、アーティストが持つ影響力を使って、世界に良い変化をもたらすことができるという強力なメッセージを伝えています。
以上、Drakeの代表曲である「God’s Plan」を、歌詞に込められたメッセージや音楽的な側面から解説しました。
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