シンガーソングライター、ラッパー、プロデューサーといった様々な才能を発揮するDoja Cat(ドージャ・キャット)は、2018年にリリースしたシングル「Mooo!」で初めて広く注目を浴び、以降「Juicy」「Say So」など数々の曲をヒットさせてきました。特に「Kiss Me More」(feat. SZA)は大ヒットし、グラミー賞にもノミネートされるなど、Doja Catはアメリカの音楽業界において確固たるポジションを獲得した、アメリカを代表する女性アーティストの一人となっています。
本記事では、映画「Birds of Prey」のサウンドトラックに収録されており、エネルギッシュで力強いメッセージが特徴の「Woman」のリリックの意味やメッセージについて、歌詞の紹介を交えて解説します。
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Doja Cat/ドージャキャットのディスコグラフィーについて

今回解説する「Woman」以外にも、Doja Catは数多くの曲をリリースしています。ここでは、代表的なシングルを年代順に紹介します。
アルバム
- 2014年:Purrr! – Doja CatのデビューEPであり、彼女の初期の音楽スタイルを反映しています。このEPには、「So High」などの初期の代表曲が収録されています。
- 2018年: Amala – 彼女のデビューアルバムで、R&Bやヒップホップ、ポップなど多様なジャンルを融合させた作品です。このアルバムには、「Go to Town」「Candy」「Mooo!」などが収録されており、「Mooo!」はSNSでバイラル(バズ)ヒットとなりました。
- 2019年:Amala (Deluxe Edition) – オリジナルの「Amala」に加え、新曲やリミックスが追加されたデラックスエディションです。「Juicy」のTygaとのリミックスバージョンが特に人気となりました。
- 2019年:Hot Pink – Doja Catのセカンドアルバムであり、彼女がブレイクするきっかけとなるアルバムです。「Say So」「Rules」「Cyber Sex」などのヒット曲が収録されています。「Say So」は特にTikTokでのバイラルヒットにより、ビルボードホット100で1位を獲得しました。
- 2021年:Planet Her – Doja Catの3rdアルバムで、ビルボード200チャートで2位になるとともに、音楽評論家からも高い評価を得た作品です。「Kiss Me More」(feat. SZA)、「Need to Know」、「Woman」などが収録されていて、「Kiss Me More」はグラミー賞にもノミネートされました。
- 2023年:Scarlet – 最新アルバムで、音楽スタイルの進化を示しています。このアルバムには「Attention」、「Paint the Town Red」、「Demons」などが収録されています。これらのシングルは商業的な成功を収め、彼女の音楽的な幅広さをさらに示しました。
シングル
- 2014年:So High – Doja Catのデビューシングルで、カラフルで幻想的な見た目とユニークなボーカルを披露しています。
- 2018年:Roll with Us – リラックスしたビートと滑らかなフローが特徴です。
- 2018年:Go to Town – ポップとR&Bの要素を融合したダンス向けの楽曲です。
- 2018年:Candy – セクシーな歌詞とキャッチーなメロディが特徴のR&Bトラックです。
- 2018年:Mooo! – ユーモアあふれる歌詞とミームになったミュージックビデオで話題を集めました。
- 2019年:Tia Tamera feat. Rico Nasty – ラッパーのRico Nastyをフィーチャーしたエネルギッシュなラップトラック。
- 2019年:Juicy with Tyga (Remix) – 元々はアルバム「Amala」に収録されていた曲のリミックスで、Tygaが参加。
- 2019年:Bottom Bitch – パンクとヒップホップの要素を融合した曲。
- 2019年:Cyber Sex – インターネットとセクシュアリティをテーマにしたトラック。
- 2019年:Say So – ディスコ調のビートが特徴のポップヒットで、TikTokでのチャレンジが流行。
- 2020年:Boss Bitch – 映画「Birds of Prey」のサウンドトラックに収録されたエネルギッシュな楽曲。
- 2020年:Like That feat. Gucci Mane – ラッパーのGucci Maneをフィーチャーしたダンス向けのトラック。
- 2020年:Freak – セクシーな歌詞とR&Bのビートが特徴のシングル。
- 2020年:Del Mar with Ozuna and Sia – ラテンスターのOzunaとシンガーソングライターのSiaとのコラボレーション。
- 2021年:Best Friend with Saweetie – ラッパーのSaweetieとのコラボ。
- 2021年:Streets – セクシーでメロウなトラックで、TikTokでの「Silhouette Challenge」で人気を博した。
- 2021年:Kiss Me More feat. SZA – シンガーのSZAをフィーチャーしたポップとR&Bの要素が混ざったヒット曲。
- 2021年:You Right with The Weeknd – R&BスターのThe Weekndとのコラボレーションで、複雑な恋愛関係を描いた曲。
- 2021年:Need to Know – ゲームやバーチャルリアリティを連想させるビートが特徴の楽曲。
- 2021年:Woman – 女性の力強さと美しさを讃えるアフロビートが特徴の曲。←今回の記事
「Woman」のリリース日、チャートランキング、受賞歴について

Doja Catの「Woman」は、2021年6月25日にリリースされたアルバム「Planet Her」に収録されている楽曲で、女性の力強さと美しさを讃えています。この曲はアフロビートのリズムを取り入れており、軽快でダンサブルなサウンドが特徴で、リリックでは女性の多様な役割やその重要性について歌われており、女性のエンパワーメントを強調しています。
グラミー賞にノミネートされた「Kiss Me More」(feat. SZA)とは異なり、「Woman」は特に受賞歴はありませんが、米国Billboard Hot 100をはじめとする多くの国のチャートで上位にランクインし、特にTikTokなどのSNSで人気を博していることから、多くのファンに愛された曲であることは間違いありません。
「Woman」の歌詞の意味やメッセージとは?

「Woman」は、女性の力強さ、自立、そして多面性を讃える楽曲です。Doja Catはこの曲で、女性が持つさまざまな役割と美しさを祝福し、女性性の神秘と魅力を称賛しています。彼女は自信を持って自分自身を表現し、女性としてのアイデンティティを力強く主張しています。歌詞では、女性がリーダーであり、愛情深く、魅力的であり、その全てを誇りに思うべきだというメッセージが込められています。また、男性に対しても、女性を尊敬し、彼女たちの価値を認識することを促しています。アフロビートのリズムに乗せて、女性のエンパワーメントとセクシュアリティを祝うこの曲は、リスナーに自己受容と自己表現の大切さを思い出させます。
Womanの歌詞
(Hey, woman)
(Hey, woman)Hey, woman
Let me be your woman
Woman, woman, woman (ayy)
I can be your woman
Woman, woman, woman
Let me be your woman
Woman, woman, woman (ayy)
I can be your woman
Woman, woman, womanWhat you need?
She give tenfold, come here, papa, plant your seed
She can grow it from her womb, a family
Provide lovin’ overlooked and unappreciated, you see (yeah)
You can reciprocate
I got delicious taste
You need a woman’s touch in your place
Just protect her and keep her safe
Baby, worship my hips and waist
So feminine with grace
I touch your soul when you hear me say
“Boy, let me be your woman”Let me be your woman (daddy)
Genius
Woman, woman, woman (I know) (ayy)
I can be your woman (daddy)
Woman, woman, woman (I know)
Let me be your woman (daddy)
Woman, woman, woman (I know) (ayy)
I can be your woman (daddy)
Woman, woman, woman
このパートでは、女性の強さと美しさ、そして家庭を築く能力を称賛する内容が含まれています。Doja Catは、女性が持つ様々な役割や魅力を伝え、男性に対して女性である自分の存在を認識し、大切にするよう訴えています。また、リズム感のある言葉遣いや感嘆の表現を使うことで、曲全体にエネルギーと感情が込められています。
歌詞・スラングについて①
- Let me be your woman:「私をあなたの女性にして」と訳せるが、ここでの「be your woman」は、恋人やパートナーとして支える存在になることを示唆しています。
- She give tenfold:「彼女は10倍返しする」という意味。何かを受け取ったときに、それを何倍にもして返すことを示す。
- Come here, papa, plant your seed:「おいで、パパ、種を植えなさい」。ここでの「plant your seed」は、家庭を築くための暗喩で、子供を持つことを指します。
- You need a woman’s touch in your place:「あなたの場所には女性の手が必要」という意味。女性がいることで、家や環境が整い、快適になることを示唆しています。
- Worship my hips and waist:「私の腰やウエストを崇拝しなさい」。ここでは、女性の身体的な美しさを称賛することを指しています。
I can be your lady, I’m a woman
Genius
I’m a motherfucker but they got a problem
Put some babies in your life and take away the drama
Put that paper in a picture like a diorama
Gotta face a lot people that are opposite
‘Cause the world told me, “We ain’t got that common sense”
Gotta prove it to myself that I’m on top of shit
And you will never know a God without a Goddess
As honest as fuckin’ honest get
And I could be on everything
I mean I could be the leader, head of all the states
I could smile and jiggle it ‘til his pockets empty
I could be the CEO, just look at Robyn Fenty
And I’ma be there for you ‘cause you on my team, girl
Don’t ever think you ain’t hella these niggas dream girl
They wanna pit us against each other when we succeedin’ for no reasons
They wanna see us end up like we Regina on Mean Girls
Princess or queen, tomboy or king (yeah)
You’ve heard a lot, you’ve never seen (nah)
Mother Earth, Mother Mary rise to the top
Divine feminine, I’m feminine (why?)
女性の多様な役割や力強さを称賛し、女性が社会で直面する挑戦や偏見に対する強いメッセージを含んでいます。Doja Catは、女性が持つリーダーシップ、家庭を築く力、美しさ、そして神聖さを強調しながら、女性同士の連帯を呼びかけています。

歌詞・スラングについて②
- Put some babies in your life:「あなたの人生に子供をもたらす」という意味で、家庭や家族を築くことを示しています。
- Put that paper in a picture like a diorama:「その紙をジオラマのような絵にする」。ここでの「paper」はお金の隠喩で、お金を現実の生活に組み込むという意味です。
- We ain’t got that common sense:「私たちにはその共通の常識がない」。ここでは、社会的な偏見や誤解に対する言及です。
- I’m on top of shit:「私はすべてをうまくやっている」。スラングで、自分が物事をうまく管理していることを意味します。
- You will never know a God without a Goddess:「神を知らずして女神を知ることはない」という意味で、男女の相互依存を強調しています。
- As honest as fuckin’ honest get:「これ以上ないほど正直」。非常に正直であることを強調する表現です。
- I could smile and jiggle it ‘til his pockets empty:「私は笑顔を見せて、彼のお金を使い果たすまで揺らすことができる」。ここでは、女性の魅力を利用して男性のお金を引き出すことを示しています。
- CEO, just look at Robyn Fenty:「CEO、Robyn Fenty(リアーナ)を見てごらん」。Robyn Fentyはリアーナの本名で、彼女が成功したビジネスウーマンであることを示しています。
- hella:カリフォルニア発祥のスラングで、「非常に」「とても」を意味します。
- They wanna pit us against each other:「彼らは私たちをお互いに対立させたい」。成功している女性同士を競わせようとする社会的な圧力を示しています。
- end up like we Regina on Mean Girls:映画『Mean Girls』のReginaのようになる。「Regina」は映画のキャラクターで、対立や敵対関係を象徴します。
- Princess or queen, tomboy or king:「プリンセスやクイーン、男勝りの少女やキング」。女性が様々な役割やアイデンティティを持つことを示しています。
- Mother Earth, Mother Mary rise to the top:「大地の母、聖母マリアがトップに上り詰める」。女性の神聖さと力を強調しています。
「Woman」に対するファンやSNSの反応は?
Doja Catの「Woman」は、ドラム、ベースライン、そしてアフリカンビート(アフロビート)の影響を受けた楽器が融合し、エネルギッシュでリズミカルなトラックを作り上げています。Doja Catの滑らかなボーカルは、このビートに完璧にマッチしており、曲全体にセクシーで自信に満ちた雰囲気を与えています。
ミュージックビデオも「Woman」の魅力をさらに引き立てています。ビデオは、未来的な女王国を舞台にしており、Doja Catがリーダーとして女性たちを鼓舞する様子が描かれています。ビジュアルは非常にカラフルで、豪華な衣装や振り付けも見どころです。このビデオは、視覚的にも女性の力強さと美しさを強調しており、多くの視聴者から高い評価を受けました。
そんな「Woman」はファンからの熱狂的な反応とSNSで大きな話題を呼びました。リリースされるや否や、TikTokをはじめとするプラットフォームでダンスチャレンジが生まれ、多くのユーザーが自身のビデオを投稿しました。ファンはこの曲を通じて女性のエンパワーメントを祝い、自己表現の手段として受け入れました。また、歌詞の強力なメッセージは、女性の力と多様性を称賛するハッシュタグと共に、TwitterやInstagramで広く共有されました。
音楽評論家からも「Woman」は高い評価を受けています。そのキャッチーなメロディとリズム、Doja Catの印象的なボーカルパフォーマンスが称賛され、アフロビートの影響を受けたプロダクションは新鮮で現代的なサウンドとして評価されました。批評家たちは特に、女性の自立と力強さを讃える歌詞の内容を高く評価し、音楽を通じた社会的メッセージの重要性を指摘しています。アルバム「Planet Her」の中でも際立つトラックとして、多くのレビューで特筆されており、Doja Catのアーティストとしての成長と進化を示す作品として認識されています。
以上、Doja Catの「Woman」を、歌詞に込められたメッセージや音楽的な側面から解説しました。
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