カナダ出身のグラミー賞受賞アーティスト、Drake(ドレイク)は、2009年のデビューアルバム「Thank Me Later」での成功に端を発し、以降、数々のヒット曲とアルバムを世に送り出してきました。多数のビルボードチャートの首位獲得や、複数のプラチナディスク認定など、彼の音楽は、ジャンルの境界を越え、幅広いリスナーに受け入れられています。
本記事では、2016年のグラミー賞で、最優秀ラップ/サングパフォーマンス賞と最優秀ラップソング賞の2部門にノミネートされるなど、Drakeののキャリアにおいて重要な曲となった「Hotline Bling」のリリックの意味やメッセージについて、歌詞の紹介を交えて解説します。
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Drakeのディスコグラフィーについて

「Hotline Bling」以外にも、Drakeは数多くの曲をリリースしています。ここでは、代表的なシングルを年代順に紹介します。
- 2009年:Best I Ever Had – Drakeの初期のヒット曲で、彼のデビューEP「So Far Gone」に収録されています。
- 2010年:Find Your Love – アルバム「Thank Me Later」からのシングルで、Drakeのポップへの進出を示す曲です。
- 2011年:Take Care feat. Rihanna – 同名アルバム「Take Care」からのタイトルトラックで、大ヒットしました。
- 2013年:Started From the Bottom – アルバム「Nothing Was the Same」からのシングルで、Drakeの成功への道のりを描いています。
- 2015年:Hotline Bling – 大きな文化的影響を与えたシングルで、多くのチャートで上位にランクインしました。←今回の記事
- 2016年:One Dance” feat. Wizkid and Kyla – アルバム「Views」からのシングルで、世界的なヒットとなりました。
- 2018年:God’s Plan – アルバム「Scorpion」からのシングルで、Billboard Hot 100で長期間1位をキープしました。←「God’s Plan」の解説記事はコチラ
- 2018年:In My Feelings – 同じく「Scorpion」からのシングルで、「In My Feelings」チャレンジが流行しました。←「In My Feelings」の解説記事はコチラ
- 2020年:Toosie Slide – TikTokでのダンスチャレンジが流行したシングルです。
「Hotline bling」のリリース日、チャートランキング、受賞歴について

「Hotline Bling」は、Drakeによって2015年7月31日にリリースされました。この曲は商業的に大成功を収め、アメリカのBillboard Hot 100チャートで最高2位に達しました。また、様々な国のチャートでも上位にランクインし、国際的なヒットとなりました。
受賞歴を見ると、「Hotline Bling」は2016年のグラミー賞で最優秀ラップ/サングパフォーマンス賞と最優秀ラップソング賞にノミネートされましたが、受賞は逃しました。しかし、その影響力と人気は、ミュージックビデオの成功やソーシャルメディアでのヴァイラルな広がりを通じて、広く認識されています。
「Hotline bling」の歌詞の意味やメッセージとは?
Drakeの「Hotline Bling」は、過去の恋人が新しい生活を始めたことに対する複雑な感情をテーマにし、失恋と変化する人間関係を表現した歌詞が特徴です。歌詞では、かつての恋人が「都会に行って変わった」と歌い、夜遅くにかかってくる電話(”hotline bling”)がもうかかってないことを嘆くなど、現代特有の恋愛関係におけるコミュニケーションのあり方と、ソーシャルメディアを通じた他人の生活の見え方について、Drakeの洞察が伝わってきます。
デジタル時代においては、スマートフォンやソーシャルメディアが人々の交流を変え、遠距離恋愛や元恋人の生活をオンラインで追うことが一般的になりました。「Hotline Bling」は、そうした現代のテクノロジーがもたらす感情的な距離感と、人間関係の変化に対する思いを表現しています。
また、「Hotline Bling」は、音楽とミームカルチャー*の融合を象徴する作品としても注目されています。Drakeのダンスがインターネットミームとして広まり、曲の人気をさらに拡大させる一方で、現代のポップカルチャーにおけるヴァイラルコンテンツの力を示しています。*ミームとは面白い画像や動画が拡散されていく文化のこと
このように、Drakeの「Hotline Bling」は、恋愛感情だけでなく、テクノロジーと文化が交差する点においても、リスナーに強い共感を呼び起こす楽曲となっています。
Hotline Blingの歌詞
You used to call me on my
You used to, you used to
Yeah※ここから
You used to call me on my cell phone
Late-night when you need my love
Call me on my cell phone
Late-night when you need my love
And I know when that hotline bling
That can only mean one thing
I know when that hotline bling
That can only mean one thing※ここまで
Ever since I left the city, you
Got a reputation for yourself now
Everybody knows and I feel left out
Girl, you got me down, you got me stressed out
‘Cause ever since I left the city, you
Started wearin’ less and goin’ out more
Glasses of champagne out on the dance floor
Hangin’ with some girls I never seen before※Repeat
Ever since I left the city, you, you, you
You and me, we just don’t get along
You make me feel like I did you wrong
Goin’ places where you don’t belong
Ever since I left the city, you
You got exactly what you asked for
Runnin’ out of pages in your passport
Hangin’ with some girls I’ve never seen before※Repeat
These days, all I do is
Wonder if you’re bendin’ over backwards for someone else
Wonder if you’re rollin’ up a Backwoods for someone else
Doing things I taught you, gettin’ nasty for someone else
You don’t need no one else
You don’t need nobody else, no
Why you never alone?
Why you always touchin’ road?
Used to always stay at home
Be a good girl, you was in the zone
Yeah, you should just be yourself
Right now, you’re someone else※Repeat×2
Ever since I left the city—
Genius
スラングについて
- Hotline bling – 特定の人からの電話やメッセージが来ることを指し、ここでは恋人からの連絡を指しています。Blingは、光るジュエリーの音を表すオノマトペで、ここでは電話の着信を指しています。
- Wearin’ less and goin’ out more – 服をあまり着ないで外出することが多くなった、という意味で、ここでは自由奔放なライフスタイルを指しています。
- Touchin’ road – 外出すること、特にパーティーに行くことを意味します。
- Rollin’ up a Backwoods – 「Backwoods」とはタバコのブランドで、ここではそのタバコを使ってマリファナのジョイントを巻くことを指しています。
- Gettin’ nasty – 性的な行為に積極的になることを指します。
「Hotline bling」に対するファンやSNSの反応は?
Drakeの「Hotline Bling」は、ファンからの熱狂的な反応を受け、ソーシャルメディアで大きな話題となりました。リリース直後から、そのキャッチーなリフレインとDrakeのダンスがファンの間で瞬く間に広まり、多くのミームやパロディビデオが作成されました。X(当時はTwitter)やInstagramでは、#HotlineBlingのハッシュタグがトレンド入りし、ファンたちは自身のダンス動画を投稿するなどして曲の人気をさらに盛り上げました。
Drakeの「Hotline Bling」のミュージックビデオは、監督のX(Director X)によって手掛けられました。Xは以前にもDrakeのビデオを監督しており、その鮮やかなビジュアルスタイルで知られています。撮影はカナダのトロントにあるスタジオで行われ、そのシンプルでありながらも鮮明な色彩が特徴的なセットが印象的な空間を創り出しています。
ビデオの中で最も象徴的なシーンは、Drakeが単独でダンスを踊る部分です。彼のリラックスしたステップと即興的な動きは、視聴者に強い印象を与え、多くのパロディやミームを生み出しました。このダンスは、ビデオがリリースされた後、インターネット上で瞬く間に広まり、文化的な現象となりました。
ビデオは、2016年のMTV Video Music Awardsで最優秀ヒップホップビデオ賞を受賞し、そのクリエイティブなアプローチが業界内外で認められました。 さらに、このビデオは、音楽ビデオがソーシャルメディア時代のマーケティングツールとしていかに強力であるかを示す事例としても注目されています。YouTubeでの再生回数が数億回を超えるなど、その影響力は計り知れません。Drakeの「Hotline Bling」のビデオは、音楽とビジュアルアートが融合した作品として、現代のポップカルチャーにおける重要な足跡を残しています。
以上、Drakeの代表曲である「Hotline Bling」を、歌詞に込められたメッセージや音楽的な側面から解説しました。
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